2021年4月29日木曜日

野田沙織さん 三越左千夫少年詩賞を受賞!

 四月中旬、日本児童文学者協会の関係者様から電話があり、今年度の三越左千夫少年詩賞に野田沙織さんの詩集『うたうかたつむり』が受賞したと伝えられました。

 野田さんの詩集『うたうかたつむり』は数年前から出版のご相談をいただいていたのですが、昨年の3月から詩集の編集が始まり、初秋には刊行の予定でした。画家の浜田洋子さんに挿絵などをお願いして編集を進めていた矢先、7月7日に野田さんは病気で41歳の若さで急逝されました。ご家族の意向もあり、12月に詩集を刊行いたしました。

 野田沙織さんは学生時代から詩作をはじめ、300名ほど応募があった詩のコンテスト「詩の少年詩の少女」で見事に入賞し、その後詩誌「マグノリアの木」「みみずく」などで詩作品を発表し、また児童文学誌「ネバーランド」「少年詩の学校」「ざわざわ」などに詩やエッセイを発表されていました。詩作において詩の言葉を吟味し、選び抜くことを徹底されていたことが印象的です。

 詩集原稿をまとめられた時に、その暗さについてメールで触れると「詩のダークさについては…自分では毒の部分も大切にしながら、救いのない書き方はしていない」とお返事をいただいたのがいまだ記憶にあたらしいです。昨年の2月のことでした。

 もっと早くお元気なうちに詩集が刊行できていたらと惜しまれますが。むしろこうして一冊の詩集として残せたことを喜ぶべきかと思います。しかも名誉ある三越賞を受賞されたことを版元としてとても嬉しく思っております。野田さんのごめいふくをお祈りします。