2022年5月27日金曜日

現代こども詩文庫3 畑島喜久生詩集

 


現代[s1] こども詩文庫 3

 畑島喜久生詩集

2022年510 日 発売

企画・編集 菊永 謙

カバー絵 大井さちこ

発行所 四季の森社

ISBN978-4-905036-31-9  C0392

定価 本体1200円 税120 合計1320

 

著者 畑島喜久生

1930年長崎県対馬に生まれる。

小学校教師として働く。こども本位の児童詩教育を目指し活動。『現代児童詩』若干、「これからの児童詩教育」など児童詩関連の著作多数。小学校教師定年退職後は白百合女子大、東京保育専門学校等に勤務しながら日本児童文学の編集にも関与。少年詩の一層の発展を目指し、「少年詩の学校」「少年詩の教室」など発刊。「畑島喜久生詩集」など少年詩関連の著作多数。

 

畑島喜久生の既刊4冊の少年詩集などからの選集と近年のエッセイを収録。作品論詩人論解説に内田麟太郎 、中上哲夫、藤川幸之助、須田慎吾、菊永 謙。

 

畑島喜久生詩集から

 

   スズメを信じる

 

かんがえてみてください

人間にとって

いちばん身近な鳥といえば

スズメではないでしょうか

 

周(まわり)中にいっぱいいる

だから忘れている(忘れられている)

 

昔 何十年前かまで

わたしたちの国にも

「大衆(たいしゅう)」と呼ばれている人たちがいました

毎日毎日の暮らしのことしか考えない大勢の人たちが

それが 暮らしが豊かになっていつの間にか消えていた(いった)

そしていま不景気で

自由だけがいっぱいあって

貧乏になるのも自由 自殺するのも自由‥‥‥

 と

それが

─その他大勢

ではなくテンデンバラバラに生きているのです いまのいまは‥‥‥

 

ところで

あの人間にとっての

あるかなきが如くにたくさんいたスズメたちはどうしていますかね

中国から流れてくる大気汚染にも耐えて元気でいられるか─

いるか

いないか

いないか

いるか

わたしはいると思います

人間みたいに「新中間層」になったりはしていないので

「鳥」としての「大衆」の名のままでいると‥‥‥

わたしは そのように

「自然」の中での

「人間」にとって

いちばん身近かであった「鳥」のことを深く信じていますので‥‥‥


 [s1]