2019年8月25日発行発売
著者 山本純子
イラスト装幀 ルイコ
ISBN 978-4-905036-17-3
四六判64ページ並製 定価800円+税
詩人山本純子がこどもに読んでもらうために書き下ろした小詩集
著者 山本純子
2000年
詩集『豊穣の女神の息子』花神社
2004年
詩集『あまのがわ』花神社(第55回H氏賞)
2007年
詩集『海の日』花神社
2009年
句集『カヌー干す』ふらんす堂
2009年
朗読CD『風と散歩に』
ミュージカルひろば「星のこども」発行
2014年
少年詩集『ふふふ』銀の鈴社
2017年
俳句とエッセイ『山ガール』創風社出版
2018年
詩集『きつねうどんをたべるとき』ふらんす堂
この小さな詩集の中に、あなたのふだんの生活やふと想像することと、ひびき合う作品があったでしょうか。もし一つでもあったら、ぜひその詩を声に出して読んでください。声にすると、詩はいっそうきげんがよくなります。 (山本純子;あとがきから)
作品抄 (本詩集から)
ってこと
すき きらい
すき きらい って
マーガレットの花びらを
むしるより
くつを
ポーンと 空へけり上げて
うらなおう
落ちたくつが 横向きだったら
くつが うらない初心者で
ちょっと なやんでる ってこと
黒ネコ
黒ネコが 音もなくやってきて
ろうかの出入り口から
すっと 中をのぞきこむと
そのまま 音もなく去っていった
きっと 気になったんだ
算数のドリルをといている
わたしだって
さっきから 気になっている
ろうかのおくの
給食室から ただよってくる
シチューのにおい
ワリバシ先生
家に ワリバシが余っていたら
ワリバシ先生のところへ持っていく
職員室の
ワリバシ先生の引き出しには
ワリバシが ぞくぞく集まっていて
うわさでは 真夜中に
ワリバシたちが 剣の試合をするらしい
お弁当の日に おはしを忘れて
ワリバシせんせー って大声で呼ぶと
本名 大橋先生が
パシッ と一ぜん わたしてくれる
山わらう
白でも 黄色でもない
ひよこの色
えだから めぶいた 葉っぱには
緑に ひよこの色が まじっている
風が ふくと
葉っぱのひよこが くすぐったがって
ひよひよ ひよひよっと わらう
葉っぱのひよこたちが
いっせいに くすぐったがって
山わらう
〝山わらう〟は春の季語です。春の山の明るい様子を表したことばです。
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